倫理学と宗教の決定的な違い

倫理学と宗教の教えの決定的な違いは、倫理学が理性を使って到達される真理であるのに対して、宗教は必ずしも論理や理性に基づくものではないということだ。しかし宗教も、長い年月を経て、たまたま真理に触れた”良い教え”が言い伝えられ残り、結果的にそれが倫理学の到達したルールと似通うことがあるのである。
たとえば、倫理学では、あるルールが倫理的かどうかを判断するのに「普遍化」を用いる。
つまりそのルールを全ての人が厳格に守ったらどうなるのかを理性を使って考えることでそれが正しいかどうかわかるというのだ。
「どこにポイ捨てしても一向にかまわない」
「歩道のヒビを踏んではならない」
「人を侮辱するべきではない」
等の文言が倫理的(=正しい)かどうかは普遍化によって確認ができるというわけである。暇があれば考えてみてほしい。
だが一方で、たとえば「人を殺す」というのはもはや考えずとも直感的に間違いであるように思える。
そこで出て来るのが直観主義である。これは物事の良し悪しは絶対的なもので、かつ、それは人間の直感によって到達できるとするものである。
例えば猫ちゃんを残虐に殺すとなると我々は有無を言わさず吐き気を催す、大多数―99%、というレベルで人々はこれに賛成しない。これは何色が好きか、アイスクリームのどの味が好きかというような「意見」とは違い、人々は倫理的な問題に関してはほとんどが直感的に同じ考えを持っている。このように物事が倫理的かどうかを判断するのに人々の直感は信頼できるとするのが直観主義である。